【問】  AB間の土地売買契約中の履行遅滞の賠償額の予定の条項によって、AがBに対して、損害賠償請求をする場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 賠償請求を受けたBは、自己の履行遅滞について、帰責事由のないことを主張・立証Bすれば、免責される。

2 Bが、Aの過失を立証して、過失相殺の主張をしたとき、裁判所は損害額の算定にその過失を斟酌することができる。

3 裁判所は、賠償額の予定の合意が、暴利行為として公序良俗違反となる場合でも、賠償額の減額をすることができない。

4 Aは、賠償請求に際して、Bの履行遅滞があったことを主張・立証すれば足り、損害の発生や損害額の主張・立証をする必要はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 3

1 正しい。債務不履行に基づく損害賠償請求権の発生には、債務者の責めに帰すべき事由の存在が必要とされている(415条1項)から、債務者は自己に責めに帰すべき事由の存しないことを主張・立証すれば免責される。

2 正しい。損害賠償額の予定がある場合でも、債権者にも過失があれば、裁判所は、損害賠償責任の成否及び損害額の算定の両方について、その過失を斟酌することができる(判例)から、本肢のように損害額の算定に債権者側の過失を斟酌できる。

3 誤り。損害賠償額の予定が、暴利行為として公序良俗違反となる場合は、損害賠償額の予定の全部又は一部が無効となるから、その限りにおいて、裁判所は予定賠償額を減額することができる。

4 正しい。損害賠償額の予定を定めた場合は、債務不履行の事実さえ立証すれば、損害の発生や損害額について立証する必要はない(判例)。