【問】 Aが、Bに建物を2,000万円で売却した場合の契約の解除に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Aが定められた履行期に引渡しをしない場合、Bは、2,000万円の提供をしないで、Aに対して履行の催告をしたうえ契約を解除することができる。

2 Bが建物の引渡しを受けて入居したが、3カ月経過後契約が解除された場合、BはAに建物の返還とともに、3カ月分の使用料相当額を支払う必要がある。

3 Bが代金を支払った後Aが引渡しをしないうちに、Aの過失で建物が焼失した場合、BはAに対し契約を解除して、代金の返還、その利息の支払い、引渡し不能による損害賠償の各請求をすることができる。

4 特約でBに留保された解除権の行使に期間の定めのない場合、AがBに対し相当の期間内に解除するかどうか確答すべき旨を催告し、その期間内に解除の通知を受けなかったとき、Bは契約を解除できなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 1

1 誤り。売主Aの建物の引渡債務と買主Bの2,000万円の代金支払債務とは同時履行の関係(533条)にあるので、たとえAが履行期に建物の引渡しをしなくても、Bが代金支払の履行の提供をしない限り、Aは履行遅滞にならない(412条)。よって、Bが代金支払の履行の提供をしないでした催告及びこれに基づく契約解除は無効である。

2 正しい。契約が解除された場合には、契約当事者は互いに相手方を原状に復させる義務を負う。よって、Bは、建物に居住していた期間の使用料相当額を支払う必要がある(545条3項)。

3 正しい。契約の一方の債務が履行不能となった場合には、不能となった債務の債権者は、債務者の責に帰すべき事由の有無に関係なく契約を解除することができ(542条)、債務者に責に帰すべき事由がある場合には損害賠償請求もできる(415条)。本肢はAの過失による履行不能なので、Bは契約を解除して代金の返還とその利息の請求(545条2項)及び損害の賠償請求ができる。

4 正しい。記述の通り(催告による解除権の消滅・547条)。