【問】 Aは、自己所有の建物について、災害により居住建物を失った友人Bと、適当な家屋が見つかるまでの一時的住居とするとの約定のもとに、使用貸借契約を締結した。

この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 Bが死亡した場合、使用貸借契約は当然に終了する。

2 Aがこの建物をCに売却し、その旨の所有権移転登記を行った場合でも、Aによる売却の前にBがこの建物の引渡しを受けていたときは、Bは使用貸借契約をCに対抗できる。

3 Bは、Aの承諾がなければ、この建物の一部を、第三者に転貸して使用収益させることはできない。

4 適当な家屋が現実に見つかる以前であっても、適当な家屋を見つけるのに必要と思われる客観的な期間を経過した場合は、Aは使用貸借契約を解除し、Bに対して建物の返還を請求することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 2

1 正しい。使用貸借契約は借主の死亡により終了する(596条3項)。

2 誤り。使用貸借の借主には、賃貸借契約の借主における「登記」や「引渡し」のような第三者に対する対抗要件がない。よって、本肢のような場合、使用借主Bは、第三者である建物の新所有者Cには、その使用借権を対抗できない。

3 正しい。使用貸借の借主が借用物を転貸するには貸主の承諾を得なければならない(594条2項)。

4 正しい。使用貸借において契約期間を定めなかった場合でも、使用または収益の目的を定めたときは、借主が使用収益を終えたときに契約は終了する(597条2項)が、契約に定めた使用収益が終わる前でも、契約で定めた使用収益をなすに足りる期間が経過したときは、貸主は契約の解除をすることができる(598条1項)。

また、使用貸借について契約期間も使用または収益の目的も定めなかったときは、貸主はいつでも契約を解除することができる(598条2項)。