【問】 土地について、Aを売主、Bを買主とする売買契約が成立した(売主の担保責任についての特約はない)。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。
1 その土地の所有権の一部がCに属しているため、AがこれをBに移転することができないときは、Bは、そのことを知っていた場合であっても代金の減額を請求することができる。
2 その土地が地上権の目的となっているときは、Bは、そのことを知っている場合であっても損害賠償を請求することができるが、善意であって、かつ、その土地が地上権の目的となっていることにより契約をなした目的を達することができない場合でなければ、契約を解除することはできない。
3 その土地に抵当権が設定されているときは、Bは、それを知っている場合であっても、自ら出捐をなしてその所有権を保存したときは、Aに対しその出捐の償還を請求することができる。
4 Aが、この土地がAに属さないことを知らず、それを取得してBに移転できない場合、Bは債務不履行を理由としてAB間の売買契約を解除することができるが、売主Aから解除はできない。
〔問〕 正 解 2
1 正しい。権利の一部が他人に属するため、売主がその権利を移転することができないときは、買主の善意悪意を問わず、買主は売主に対して、代金減額請求を行うことができる(565条,563条)。
2 誤り。売買目的物の土地に他人のための地上権が設定されている場合において、その点が契約内容に適合しない場合(買主が善意の場合だけでなく、悪意の場合でも、売主が土地の引渡しまでに地上権を抹消する約定となっていたような場合)は、売主の担保責任が成立し、損害賠償請求も契約の解除も認められる(565条,564条)。尚、損害倍層請求には売主の責に帰すべき事由が必要となる点に注意。
3 正しい。買い受けた不動産に契約内容に適合しない抵当権が存していた場合において、買主が費用を支出してその不動産の所有権を保存したときは、買主は、売主に対し、その費用の償還を請求することができる(570条)。
4 正しい。他人の物の売買においては、売主は所有者から所有権を取得した上で買主に移転する義務を負う(561条)。よって、買主への所有権の移転が不可能な場合には、債務不履行(履行不能)となり、買主は契約の解除をすることができる(542条)が、売主からの解除は、売主の善意悪意に関係なく認められない。