【問】 Aが自己の所有する土地をBに対して買戻しの特約付きで売買する場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

1 買戻しの特約を売買契約と同時に締結し、AからBへの所有権移転登記と同時に買戻し特約が登記された土地をBが第三者Cに譲渡し、Cが所有権の登記をした場合、Aの買戻しの意思表示は、Bに対してする必要がある。

2 買戻しの期間は5年を超えることができないが、後日その期間を延ばすことができる。

3 売買契約成立後、AがBから当該土地を買戻す場合、AはBに対して、売買代金(別段の合意をした場合にあってはその合意により定めた金額)及び契約費用並びに利息を提供しなければ、買戻すことができない。

4 買戻しの特約が登記された土地をBから賃借し、賃借権の登記をしたDは、Aの買戻権が行使された場合でも、残期1年についてはAに賃借権を対抗できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 4

1 誤り。買戻しの特約は売買契約と同時に締結することを要する。買戻しの特約は、その登記があれば第三者に対抗することができる。この場合、Aの買戻しの意思表示は、第三者Cに対してしなければならない(判例)。

2 誤り。買戻しの期間は10年を超えることができない。買戻しの期間を定めた場合、後日、その期間を伸長することはできない(民法580条1項)。

3 誤り。買戻権を行使する場合、Aは売買代金(別段の合意をした場合にあってはその合意により定めた金額)と契約費用を提供して、当該土地を買戻すことができる(579条)。利息を提供しなくても買戻すことができる。

4 正しい。本肢の場合、賃借人の利用権を保護するため、賃借人は、賃借権の登記や借地借家法等他の法律で定める対抗要件があれば、残期1年間に限って売主Aに賃借権を対抗できる(581条2項)。