【問】 民法上の委任契約に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。

1 委任契約は、委任者又は受任者のいずれからも、いつでもその解除をすることができる。

ただし、相手方に不利な時期に委任契約の解除をしたときは、相手方に対して損害賠償責任を負う場合がある。

2 委任者が破産手続開始決定を受けた場合、委任契約は終了する。

3 委任契約が委任者の死亡により終了した場合、受任者は、委任者の相続人から終了についての承諾を得るときまで、委任事務を処理する義務を負う。

4 委任契約の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、相手方に対抗することができず、そのときまで当事者は委任契約上の義務を負う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 3

1 正しい。委任契約の当事者は、いつでもその契約を解除できるが、①相手方に不利な時期に委任を解除したとき又は②委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したときは、損害を賠償しなければならない(651条)。

2 正しい。委任者または受任者の一方が破産手続開始の決定を受けたときは、委任契約は終了する(653条2号)。

3 誤り。委任契約が終了した場合でも、差し迫った事情があるときは、受任者は、委任者の相続人又は法定代理人が委任事務を処理することができるようになるまでの間、必要な委任事務を続けなければならない(654条)のであり、委任者の相続人から終了についての承諾を得るときまででなはい。

4 正しい。委任契約が終了したときは、これを相手方に通知しなければその終了を主張できないので、そのときまで当事者は契約上の義務を負う(655条)。