【問】 Aは、Bとの間で、A所有の山林の売却について買主のあっせんを依頼し、その売買契約が締結され履行に至ったとき、売買代金の2%の報酬を支払う旨の停止条件付きの報酬契約を締結した。この契約において他に特段の合意はない。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 あっせん期間が長期間に及んだことを理由として、Bが報酬の一部前払を要求してきても、Aには報酬を支払う義務はない。
2 Bがあっせんした買主Cとの間でAが当該山林の売買契約を締結しても、売買代金が支払われる前にAが第三者Dとの間で当該山林の売買契約を締結して履行してしまえば、Bの報酬請求権は効力を生ずることはない。
3 停止条件付きの報酬契約締結の時点で、既にAが第三者Eとの間で当該山林の売買契約を締結して履行も完了していた場合には、Bの報酬請求権が効力を生ずることはない。
4 当該山林の売買契約が締結されていない時点であっても、Bは停止条件付きの報酬請求権を第三者Fに譲渡することができる。
〔問〕 正 解 2
1 正しい。停止条件付法律行為は、その条件が成就したときからその効力を生ずる。条件が成就する前にAが報酬を支払う義務はない(127条1項)。
2 誤り。条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができるので、Bは報酬を請求することができる(130条)。
3 正しい。条件が成就しないことが法律行為の時に既に確定していた場合、停止条件付の法律行為は無効となる(131条2項)。
4 正しい。当事者は、条件が実現するかどうかはっきりしていなくても、条件の実現により得られる権利義務をその性質に従って処分し、相続し、保存し、担保の目的とすることができる(129条)。