【問】 借地借家法第23条の借地権(以下この問において「事業用定期借地権」という。)に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 事業の用に供する建物の所有を目的とする場合であれば、従業員の社宅として従業員の居住の用に供するときであっても、事業用定期借地権を設定することができる。

2 存続期間を10年以上20年未満とする短期の事業用定期借地権の設定を目的とする契約は、公正証書によらなくとも、書面又は電磁的記録によって適法に締結することができる。

3 事業用定期借地権が設定された借地上にある建物につき賃貸借契約を締結する場合、建物を取り壊すこととなるときに建物賃貸借契約が終了する旨を定めることができるが、その特約は公正証書によってしなければならない。

4 事業用定期借地権の存続期間の満了によって、その借地上の建物の賃借人が土地を明け渡さなければならないときでも、建物の賃借人がその満了をその1年前までに知らなかったときは、建物の賃借人は土地の明渡しにつき相当の期限を裁判所から許与される場合がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 4

1 誤り。事業用定期借地権は専ら事業の用に供する建物の所有を目的とするものであるが、事業専用であっても人の居住用建物(賃貸マンション等)は除かれる(23条)。

2 誤り。事業用定期借地権の設定を目的とする契約は、存続期間に関係なく、必ず公正証書によらなければならない(同条2項・3項)。

3 誤り。事業定期借地は更新が予定されておらず、また契約の終了に際して建物買取請求権も認められていないため、借地権者は、借地契約終了時に建物を収去(取り壊)して土地を明渡す必要がある。よって、借地上の建物を賃貸する際に「取壊し予定の建物」の賃貸借契約とすることができるが、この契約は必ず書面で行い、書面には建物を取り壊す事由を記載しなければならないが、公正証書である必要はない。

4 正しい。借地上の建物賃借人が、借地権の存続期間の満了によって土地を明け渡すべき場合において、建物賃借人が借地権の存続期間の満了をその一年前までに知らなかったときは、裁判所は、建物の賃借人の請求により、同人がこれを知った日から一年を超えない範囲内で、土地の明渡しに相当の期限を許与することができる(35条)。

尚、この規定は、事業用定期借地権等の定期借地権にも適用される。