【問】 Aは、B所有の甲建物につき、居住を目的として、期間2年、賃料月額10万円と定めた賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)をBと締結して建物の引渡しを受けた。この場合における次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。

1 本件契約期間中にBが甲建物をCに売却した場合、Aは甲建物に賃借権の登記をしていなくても、Cに対して甲建物の賃借権があることを主張することができる。

2 本件契約中に信頼関係を破壊するようなAの用法違反があり、本件契約の継続を著しく困難にしたような場合であっても、Bが本件契約を解除するためには、民法第541条所定の催告が必要である。

3 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、造作買取請求権を排除する特約がない場合、Bの同意を得てAが甲建物に付加した造作については、期間満了で本件契約が終了するときに、Aは造作買取請求権を行使できる。

4 本件契約が借地借家法第38条の定期建物賃貸借契約であって、賃料の改定に関する特約がない場合、契約期間中に賃料が不相当になったと考えたA又はBは、賃料の増減額請求権を行使できる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 2

1 正しい。AはBから建物の「引渡し」を受けているので、賃借権の登記がなくてもCに賃借権を対抗できる(31条)。

2 誤り。賃貸借契約中に信頼関係を破壊するような債務不履行(用法違反、賃料不払等)が存する場合には、賃貸人は、民法541条により、催告の上契約を解除できるが、債務不履行による信頼関係の破壊が賃貸借関係の継続を著しく困難にしたような場合には、催告なしに解除できるとされている(判例)。

3 正しい。定期建物賃貸借契約においても、特約のない限り造作買取請求権は認められている(33条)。

4 定期建物賃貸借契約においては、借賃の改定に係る特約がある場合は特約を優先させることとして借賃増減請求権の規定は適用しないが、特約がない場合には賃料増減請求権は認められる(38条7項,32条)。