【問】 借地権に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
1 借地権を設定する場合において、他の者と共に有することとなるときに限り、借地権設定者が自らその借地権を有することができる。
2 借地権者の債務不履行を理由とする解除により借地契約が終了した場合、借地権者は借地権設定者に対して、建物を時価で買い取るように請求することができない。
3 借地契約の更新の後に建物の滅失があった場合において、借地権者が借地権設定者の承諾を得ないで残存期間を超えて存続すべき建物を築造したときは、借地権設定者は地上権の消滅の請求または土地の賃貸借の解約申入れをすることができる。
4 借地上建物が第三者に売却されたが、借地権設定者が借地権の譲渡を承諾しないときは、第三者は、同建物を買い取るべきことを借地権設定者に請求することができるが、裁判所は、借地権設定者の請求により、代金の支払いにつき相当の期限を許与することができる。
〔問〕 正 解 4
1 正しい。借地権を設定するに当たって他の者と共に有することとなるときに限り、借地権設定者は借地権を有することができる(自己借地権・15条1項)。
2 正しい。同法13条1項の建物買取請求権は、借地権者の債務不履行による契約の解除により借地契約が終了した場合には認められない(13条1項、判例)。
3 正しい。設例の場合、借地権設定者は地上権の消滅請求または土地賃貸借の解約申入れをすることができ、その請求または解約申入れの日から3カ月経過すれば借地権が消滅することになる(8条2項・3項)。
4 誤り。建物買取請求権は、①借地契約が期間満了により終了した場合の借地権者の買取請求権(13条)と②借地上の建物の譲渡に際して、建物譲渡に伴う借地権の譲渡又は転貸について借地設定者(地主)の承諾を得られない場合の建物譲受人の買取請求権(14条)の二つの場合である。
①(期間満了による買取請求権)のうち、当初の契約期間中に借地権者が借地権設定者(地主)に無断で残存期間を超える建物を再築したときには、建物買取請求に当り、裁判所は借地権設定者の請求により代金の支払いにつき、相当の期限を許与することができる(13条2項)が、上記②(借地上の建物譲渡における買取請求)の場合には、代金の支払いにつき相当の期限を許与することを認める規定は存しない。