【問】 AがB所有の建物について賃貸借契約を締結し、引渡しを受けた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 AがBの承諾なく当該建物をCに転貸しても、この転貸がBに対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、BはAの無断転貸を理由に賃貸借契約を解除することはできない。

2 AがBの承諾を受けてDに対して当該建物を転貸している場合には、AB間の賃貸借契約がAの債務不履行を理由に解除され、BがDに対して目的物の返還を請求しても、AD間の転貸借契約は原則として終了しない。

3 AがEに対して賃借権の譲渡を行う場合のBの承諾は、Aに対するものでも、Eに対するものでも有効である。

4 AがBの承諾なく当該建物をFに転貸し、無断転貸を理由にFがBから明渡請求を受けた場合には、Fは明渡請求以後のAに対する賃料の全部又は一部の支払を拒むことができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 2

1 正しい。賃借人が賃貸人の承諾なく賃借建物を第三者に転貸した場合は、原則として、賃貸借契約を解除することができる(民法612条)。ただし、この転貸が賃貸人に対する背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるときは、賃貸人は賃借人の無断転貸を理由に賃貸借契約を解除することはできない(判例)。

2 誤り。賃借人の債務不履行により賃貸借契約が解除されたときは、賃貸人が転借人に対して建物の返還を請求した時点で転貸借は終了する(判例、民法616条の2)。転借人は賃貸人に対抗することができない。

3 正しい。賃借権の譲渡又は賃借物の転貸についての承諾は賃借人、譲受人又は転借人になされても有効である(判例)。

4 正しい。無断転貸を理由に転借人が賃貸人から建物の明渡請求を受けた場合には、転借人は明渡請求以後の転貸人に対する賃料の全部または一部の支払いを拒むことができる(判例、民法559条,同576条)。