【問】 AがBの土地を賃借して建てた建物の所有権が、Cに移転した。Bは、Cが使用しても何ら支障がないにかかわらず、賃借権の譲渡を承諾しない。この場合、借地借家法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

1 Cの建物の取得が売買によるものであるときは、Cは、当該建物の所有権移転登記をすれば、裁判所に対して、Bの承諾に代わる許可の申立てをすることができる。

2 Cの建物の取得が競売によるものであるときは、Cは、競売代金支払い後2月以内に限り、裁判所に対して、Bの承諾に代わる許可の申立てをすることができる。

3 Bが賃借権の譲渡を承諾しないときは、Cは、Bに対して、借地権の価額に建物の価額を加算した金額で、建物の買取りを請求することができる。

4 CがBに対して買取請求権を行使した場合、Cは、その建物を使用していても、Bが買取代金を支払うまで建物の引渡を拒むことができ、その間の地代相当額を不当利得として返還する必要はない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 2

1 誤り。借地権者(土地賃借人の場合)が借地上の建物を他人に譲渡する場合、それとともに借地権(土地賃借権)も他人に譲渡又は転貸されることになるため、原則として借地権設定者(土地賃貸人)の承諾が必要となる。この場合に借地権設定者が借地権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、裁判所に対して承諾に代わる許可の裁判を申立てることができるが、これは譲受人でなく借地権者(建物譲渡人)が行う(19条1項)

2 正しい。建物譲受人の建物の取得が競売によるものであるときは、建物譲受人は、競売代金支払い後2カ月以内に限り、裁判所に対して借地権設定者の承諾に代わる許可の申立てをすることができる(20条3項)。

3 誤り。借地権設定者が賃借権の譲渡又は転貸を承諾しないときは、建物譲受人は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原によって土地に付属させた物を時価で買い取るべきことを請求できるが、借地権の価額を加えることはできない(14条)。

4 誤り。借地借家法による建物買取請求権の行使の結果として代金債権に基づき建物を留置する者は、敷地をも占有することができるが、それは反射的効果であるので、地代相当分は不当利得となる(民法295条、判例)。