【問】 Aが、令和3年4月、Bに土地を賃貸し、Bがその土地上に建物を所有している場合の契約終了に伴う建物買取請求権に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。

1 AB間の借地契約が、公正証書により10年の事業専用の目的で締結された場合には、Bは建物買取請求権を有しない。

2 建物買取請求権は、契約終了の理由を問わず、Bの債務不履行を原因とする契約終了の場合にも、BはAに対して建物の買取りを請求することができる。

3 BがAの承諾を得て土地をCに転貸し、建物を譲渡した場合、AB間、BC間の契約が、ともに期間満了し更新がなければ、CはAに対し直接建物買取請求権を有する。

4 Bが適法にAに建物買取請求権を行使すると、その所有権は直ちにBからAに移転するが、BはAが代金を支払うまで、建物の引渡しを拒むことができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問 12〕 正 解 2

1 正しい。存続期間を10年以上30年未満として事業専用建物に関する借地権を設定する場合には、契約の更新規定・建物再築による存続期間の延長規定・建物買取請求の規定は当然に適用されない、つまり自動的に事業用定期借地となる(23条2項)。

2 誤り。建物買取請求権は、借地権の存続期間が満了し、更新なく終了した場合に発生するから、債務不履行に基づく解除のように、存続期間が満了せず終了する場合には発生しない(13条1項、判例)。

3 正しい。建物買取請求権は、適法な転借地権者にも認められる権利である(13条3項)。

4 正しい。建物買取請求権の行使と同時に建物の所有権は借地権設定者に帰属することになり、借地権者には建物を借地権設定者に引渡す義務が発生するが、その建物引渡義務と借地権設定者の代金支払義務は、同時履行の関係に立つので、BはAが代金を支払うまで建物の引渡しを拒むことができる(判例)。

また、借地人は、建物の代金債権を被担保債権とする留置権(295条)の行使としても、代金の支払があるまで、建物の引渡しを拒むことができる。