【問】 借地借家法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 建物の用途を制限する旨の借地条件がある場合において、法令による土地利用の規制の変更その他の事情の変更により、現に借地権を設定するにおいてはその借地条件と異なる建物の所有を目的とすることが相当であるにもかかわらず、借地条件の変更につき当事者間に協議が調わないときは、裁判所は、当事者の申立てにより、その借地条件を変更することができる。

2 賃貸借契約の更新の後において、借地権者が残存期間を超えて残存すべき建物を新たに築造することにつきやむを得ない事情があるにもかかわらず、借地権設定者がその建物の築造を承諾しないときは、借地権設定者が土地の賃貸借の解約の申入れをすることができない旨を定めた場合を除き、裁判所は、借地権者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

3 借地権者が賃借権の目的である土地の上の建物を第三者に譲渡しようとする場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

4 第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を競売により取得した場合において、その第三者が賃借権を取得しても借地権設定者に不利となるおそれがないにもかかわらず、借地権設定者がその賃借権の譲渡を承諾しないときは、裁判所は、その第三者の申立てにより、借地権設定者の承諾に代わる許可を与えることができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 3

1 正しい。借地契約における借地上の建物の種類、構造、規模又は用途を制限する規定を借地条件といい、本肢は裁判所による借地条件の変更に関する記述であるが、要件等は、本肢記述のとおりである(17条1項)。

2 正しい。本肢は、賃貸借契約の更新後における建物の再築についての借地権設定者の承諾(7条1項)に代わる許可の裁判に関する記述であり、その要件等は本肢のとおりである(18条1項)。尚、この再築の許可の裁判の規定は、賃貸借契約の更新後の存続期間中の再築にのみに適用され、当初の存続期間中の再築には適用されない。

また、賃借人が、契約更新後において借地権設定者に無断で再築した場合には、借地権設定者は、地上権の消滅の請求又は土地の賃貸借の解約の申入れをすることができ、その場合には、借地権は、それらのあった日から3ヵ月を経過することによって消滅する(8条2項3項)。

3 誤り。本肢は、借地上の建物を譲渡する際には、建物所有権の譲渡に伴って借地権が譲渡又は転貸されるため、借地権が賃借権の場合には、その譲渡又は転貸につき借地権設定者の承諾を必要とすることを前提とした、借地権設定者の承諾に代わる許可の裁判に関する記述であるが、申立権者は「譲渡人」である(19条1項)。

4 正しい。本肢は、第三者が借地上の建物を競売により取得した場合の借地権設定者の承諾に代わる許可の裁判の記述であり、記述のとおり、申立権者は「第三者」である(20条1項)。