【問】 Aが、B所有の建物を賃借している場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 Aが、建物に自ら居住せず、Bの承諾を得て第三者に転貸し、居住させているときは、Aは、Bからその建物を買い受けた者に対し、賃借権を対抗することができない。

2 Aが建物を第三者に転貸しようとする場合に、その転貸によりBに不利となるおそれがないにもかかわらず、Bが承諾を与えないときは、裁判所は、Aの申立てにより、Bの承諾に代わる許可を与えることができる。

3 建物が賃貸人の承諾を得て適法に転貸借されている場合(転借人C)において、AB間の賃貸借が正当の事由があり期間の満了によって終了するときは、Bは、Cにその旨通知しないと、Aに対しても、契約の終了を主張することができない。

4 Bの建物がDからの借地上にあり、Bの借地権の存続期間の満了によりAが土地を明け渡すべきときは、Aが期間満了をその1年前までに知らなかった場合に限り、Aは、裁判所に対し土地の明渡しの猶予を請求することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 4

1 誤り。建物賃借権の対抗要件は、賃借権自体の登記又は賃借人への引渡し(31条1項)である。また、本肢のように賃貸人の承諾を得た適法な転貸借の場合には、賃借人が直接占有(使用収益等)をしていなくとも、転借人が直接占有していれば「賃借人への引渡し」に当たる。

2 誤り。建物の賃貸借においては、借地権(18条)のような賃貸人の承諾に代わる許可の裁判の規定はないことに注意。

3 誤り。建物の賃貸借が期間の満了によって終了するときは、建物の賃貸人Bは、建物の転借人Cにその旨の通知をしなければ、その終了を「転借人C」に対抗できない(34条)。しかし、Bは、期間の満了による賃貸借の終了を賃貸借契約の当事者である「賃借人A」には対抗することができる。

4 正しい。借地上の建物の賃借人の保護(35条1項)により正しい(問1肢4解説参照)。