【問】 A所有の甲地は袋地で、Aが所有していない回りの土地(囲繞地)を通る通路を開設しなければ公道に出ることができない。この場合、民法の規定及び判例によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

1  Aは、囲繞地の所有者に代償を支払えば、自己の意思のみによって通行の場所及び方法を定め、囲繞地に通路を開設することができる。

2  Bが、Aから甲地を譲り受けた場合には、Bは、所有権移転の登記を完了しないと、囲繞地に通路を開設することができない。

3  甲地が、A及びCの共有地の分割によって袋地となったときには、Aは、Cが所有する分割後の残余地にしか通路を開設することができない。

4  甲地が、D所有の土地を分筆してAに売却した結果、袋地になった場合で、Dが、甲地の譲渡後、その残余地である乙地をEに売却したときには、Aは乙地に通路を開設することができない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【問】   正解    3

l  誤り。袋地の所有者は隣地通行権を行使する場合、その通行の場所、方法は隣地にとって最も損害が少ないものを選ばなければならない。また必要があるときのみ通路の開設もできるが、代償を支払ったからといって、自己の意思のみによって決めることはできない(民法211条)。

2  誤り。袋地の所有者は、登記の有無に関わらず囲繞地通行権を主張することができる(判例)。

3  正しい。共有地を分割することによって袋地になったときは、他の分割者の土地のみを通行することができる(213条)。

4  誤り。土地を分筆して一部を譲渡した場合も、分筆した他の土地のみを通行することができる。この通行権は、残地が第三者に譲渡された場合も消滅しないとされている(判例)。