【問】 Aが、親友であるBから、B所有の建物を「2年後に返還する」旨の約定のもとに、無償で借り受けた。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち正しいものはどれか。

1 Bが、Aの借受け後に当該建物をCに譲渡し登記を移転した場合、Cは、Aの借受け時から2年間は、Aに対し当該建物の返還を請求することはできない。

2 2年の期間満了時において、Bの返還請求に正当事由がない場合には、Aは、従前と同一の条件で、さらに2年間当該建物を無償で借り受けることができる。

3 2年の期間満了前にAが死亡した場合には、Aの相続人は、残りの期間についても、当該建物を無償で借り受ける権利を主張することはできない。

4 Aは、当該建物につき通常の必要費を支出した場合には、Bに対し、直ちにそれを償還するよう請求することができる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【解答】 正 解 3

1 誤り。使用貸借は賃貸借とは異なり、対抗要件なるものがない。したがって、Cが当該建物を譲り受け登記をした以上、AはCの当該建物の返還請求に応じなければならない。

2 誤り。使用貸借において期間の定めがあるときは、期間の満了によって終了する(民法597条1項)。

3 正しい。使用貸借は信頼関係に基づく無償の貸借関係があるので、借主が死亡すれば、特約のない限り使用貸借は終了する。したがって、Aの相続人は、残りの期間について、当該建物を無償で借り受ける権利を主張することができない(59条)。

4 誤り。通常の必要費は借主が負担する。したがって、AはBに対しその償還を請求することができない(595条1項)。