【問】 Aは、Bから3,000万円の借金をし、その借入金債務を担保するために、A所有の甲地と、乙地と、乙地上の丙建物の上に、いずれも第1順位の普通抵当権(共同抵当)を設定し、その登記を経た。その後甲地については、第三者に対して第2順位の抵当権が設定され、その登記がされたが、第3順位以下の担保権者はいない。この場合、民法の規定によれば、次の記述のうち誤っているものはどれか。

1 甲地が1,500万円、乙地が2,000万円、丙建物が500万円で競売され、同時に代価を配当するとき、Bはその選択により、甲地及び乙地の代金のみから優先的に配当を受けることができる。

2 甲地のみが1,500万円で競売され、この代価のみがまず配当されるとき、Bは、甲地にかかる後順位抵当権者が存在しても、1,500万円全額(競売費用等は控除)につき配当を受けることができる。

3 Bは、Aの本件借入金債務の不履行による遅延損害金については、一定の場合を除き、利息その他の定期金と通算し、最大限、最後の2年分しか、本件登記にかかる抵当権の優先弁済権を主張することができない。

4 Bと、甲地に関する第2順位の抵当権者は、合意をして、甲地上の抵当権の順位を変更

することができるが、この順位の変更は、その登記をしなければ効力が生じない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔問〕 正 解 1

1 誤り。共同担保に供している抵当権が実行され、数個の不動産から同時に配当を受ける場合は、各不動産の価格に応じて優先弁済を受ける金額を按分する(392条1項)。

2 正しい。共同抵当の甲地のみが競売された場合は、1番順位のBはその代価から全額弁済を受けることができる(392条2項)。

3 正しい。抵当権者が債務不履行による遅延損害金を請求できる場合、利息その他の定期金と通算して、最後の2年分までしか優先弁済権を主張できない(374条)。

4 正しい。抵当権の順位の変更は、その旨の登記をしなければ効力を生じない。