【問】 AはBとの間で、令和2年4月に、BがCから借りている土地上のB所有の建物について賃貸借契約(期間2年)を締結し引渡しを受け、債務不履行をすることなく占有使用を継続している。この場合に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、誤っているものはどれか。
1 Bが、Cの承諾を得ることなくAに対して借地上の建物を賃貸し、それに伴い敷地であるその借地の利用を許容している場合でも、Cとの関係において、借地の無断転貸借とはならない。
2 借地権の期間満了に伴い、Bが建物買取請求権を適法に行使した場合、Aは、建物の賃借権を建物の新たな所有者Cに対抗できる。
3 令和3年3月に、借地権がBの債務不履行により解除され、Aが建物を退去し土地を明け渡さなければならなくなったときは、Aが解除されることをその1年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、Aの請求により、Aがそれを知った日から1年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
4 令和3年3月に、借地権が存続期間の満了により終了し、Aが建物を退去し土地を明け渡さなければならなくなったときは、Aが借地権の存続期間が満了することをその1年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、Aの請求により、Aがそれを知った日から1年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。
〔問〕 正 解 3
1 正しい。借地上の建物を第三者に賃貸しても、借地権の譲渡又は転貸とはならない。
2 正しい。建物の賃借人は、建物の引渡しを受けていれば、その後に建物の所有権を取得した者にその賃借権を対抗することができる(31条1項)。
3 誤り。借地権が債務不履行により解除された場合には、借地上の建物の賃借人を保護する制度は適用されない(肢4参照)。
4 正しい。借地権の「存続期間満了」により土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が、借地権の存続期間が満了することをその1年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、それを知った日から1年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与(猶予)することができる(35条1項)。